[開催報告] 日本生化学会東北支部第89回例会・シンポジウム若手企画

今回は、東京大学定量生命科学研究所の大規模生命情報解析研究分野の中戸隆一郎先生にお越しいただきました。オンラインでも現地でも多くの方に参加いただき、非常に素晴らしい企画になりました。

若手企画は星陵オーディトリウムの小会議室で行われました。東北支部例会から飛び入りでもご参加いただき、会場や廊下から立ち見で聴講されている方々が多数いらっしゃいました。

セミナーの内容については、NGSの利用法から始まり、データ駆動型ゲノム解析の難点や解析の利用例に至るまで、丁寧に説明されていました。私のような詳しくない方でも、非常にわかりやすい内容でした。

特に興味深かったのは、データ駆動型ゲノム解析の難点や問題点についてのお話でした。現代では膨大な遺伝子データが存在し、そのデータに内在する情報から特徴をパラメータ化し、外れ値から未知の関連性や予想外の発見が可能になるという点は非常に有益な解析手段だと感じました。ただし、人の手技に基づくデータの品質や予想外の結果の信憑性といった問題も存在します。その上で、異なるアッセイの結果を比較することの重要性や、そのためにツールの開発が必要であることも学ぶことができました。特に、データの品質を改善するツールについてはどのようなものなのか気になります。

これらの課題を克服した上で、所詮データであると指摘されてしまうのも難しい点だなと思いました。今回のセミナーを通じて、解析に関する理解が広まり、幅広い人々に受け入れられる機会になることを期待しています。

文責:成田智裕

左から支部長の岩村さん、ご講演していただいた中戸先生、ハイブリッドや会場の準備を統括した高塚さんです。今回もお疲れ様でした。